《複合世帯の住まい》
この計画では、若いご夫婦+子供に加えて、ご主人のお母様・奥様のお母様・奥様の妹さん の合計6名の住まい という複合した家族の望ましい生活のあり方を求められました。
敷地自身も奥様のご実家の所有のものであり、どうしても《 母-妻-妹 》の女性の繋がりが強くなりがちなことが予想されます。けれどもそれでは夫とその母が居場所を失いがちにもなりかねません。
一方建築主の方は当初、夫の母と子世帯とをひとまとまりとするイメージをお持ちでしたが、そうしますと嫁と姑とのストレスを誘う恐れもあります。
そもそも夫の母と妻の母は、やはり他人としての独立した空間が必要であり、また、妻の妹も成人した独立の人格の持ち主です。
このような複合した家族の住まいの計画に際して、設計者としてはついつい新たな家族のコミュニティ像を夢み、様々な仕掛けをつくる誘惑に駆られます。けれども冷静に、それぞれの成熟した大人の立場に立って考えてみれば、各々が独立したスペースを確保し、その上でそれらが一軒の家をなすことのあり方を考えるべきではなかろうか、との思いに至りました。
トータルの床面積の制約からコモンスペースは最小限として、ある意味では非常にドライな四世帯の住まい として計画をしたものです。