《N clinic/residence》
北摂の医院併用住宅の計画です。一階部分に医院を、二・三階部分に住居を設ける3層が想定されていました。
表通りから少し奥まった閑静な住宅地に位置する敷地は、幅の狭い前面道路よりも一階分地盤が高い現状でした。建築主の方は素直に現況地盤の上に建物を建設することを念頭に置かれていました。しかし、住居のみの計画の場合は道路からのプライバシーは得やすい条件となりますが、医院の場合は来院の方に道路から一層分階段を上がって頂く不自由を強いることとなり、また、それほど広くない道幅に対して高台状に上がった敷地の上にさらに3層の建物が建つことは圧迫感を醸し出し、住宅地にとっては好ましいとは思われません。
今後何十年もに渡る日々の診療活動と生活とへの双方の影響、地域医療への貢献や前面道路を共有する街並みへの配慮を考え、熟考の末、敢えてご要望から逸脱して土地を大きく削って医院部門は道路と同じレベルに設けるものと計画しました。
そして上層の住居部分は道路よりセットバックしてさらに圧迫感を低減するとともに、医院という顔に対して生活感を表に醸し出さないように配慮しています。
道路側を除く三方が地面に埋まることとなる医院も、眼科という診療行為上は光の入らない診察室/検査室は逆に好ましく、一方待合等は中庭やドライエリアを設けることにより地下という印象を払拭した明るく光と風に満ちた計画としています。
大きな模型の制作と併せ、渾身の力を込めて提案させて頂いたものです。